前橋中心街その1「中央通り」(群馬県前橋市)

県庁所在地として日本有数のさびれっぷり!

このアーケード商店街を初めて訪れたときの記憶は今でも鮮明に残っています。

「誰もいない!」

そう、県庁所在地なのに、昼間なのに、立派なアーケードがあるというのに、だーれもいない、人っ子一人歩いていないのです。思い出したようにときどき自転車に乗った地元高校生か、買い物袋を下げた主婦さんが通り過ぎていくだけ。ここって群馬県の県庁所在地の中心部ですよ。もちろん最近ではどこの地方都市も似たような感じですが、それにしても、、、と。

屋根は換気のため一部が開く構造のようだ。照明や路面・看板は簡素・シンプル

昔懐かしい風景を探して、地方出張のたびにアーケード商店街を巡ってもう10年ぐらいになります。今まで数十カ所のアーケードを訪ねましたが、ある程度の規模がある都市のアーケードでこれほど人の姿がないアーケード商店街はちょっと思い出せません。(※後日もっとすごいアーケード商店街を発見するのですが、その話は別ページで)

写真屋さんも少し前までは営業していたんですが

前橋中心部には、南北に約330m伸びているこの「中央通り」と、その北側にある「弁天通商店街」、そして中央通りから少し離れた東側にある「オリオン通り」の3アーケード商店街があります。

中央通りの脇にある演歌専門で知られたアツミレコードさん(右の建物)も2023年末まで営業されていました

まずは中央通り商店街から歩きはじめますが、アーケード設備や建物の雰囲気としてはそれほど劣化もなく明るい雰囲気なのですが(※中央商店街が最初に出来たのは昭和37年だが、平成14年に改修されているとのこと)、とにかく人の姿がありません。店は全体で建物の約1/3~1/4ぐらいが営業しているといったところでしょうか(令和6年現在)。この地には仕事の関係もあり年に一度ぐらいは訪れているのですが、初めて訪れた10年前ぐらいにはもう少し営業している店が多かったように思います。それがコロナ禍を経てだいぶ過疎化が進んでしまったようです。もちろん閉めた店はシャッターのままとなるか、建物がなくなって歯抜けになるか、です。

懐かしい看板がならぶレトロな薬屋さんは閉店後も看板はそのまま
こちらは現在営業されているか不明だが、魚のデザインがかわいい
建物が抜けたあとには空き地が残る

もちろんまだまだ頑張っておられる店舗もいくつかあります。昭和の雰囲気がムンムンあふれ、よくテレビなどでも紹介されることが多いパーラーレストラン「モモヤ」さんをはじめとして、いくつかの店が負けじとがんばっています。そういえば最近になって、空き店舗に無印良品が入っていました。これはかなりレアなケースではないかと思います。

レトロなパーラーレストラン「モモヤ」さん。クリームソーダとかオムライスとかパフェとかいいですね
八百駒さんも元気に営業中。常連客が多いようす
商店街には欠かせない呉服屋「小川屋」さんも健在!

こんな前橋の中心商店街ですが、それでもつい40年ほど前までは、百貨店がいくつも存在し、たいそう賑わっていたそうです。現在「前橋テルサ」がある場所に「前三百貨店」が、「前橋プラザ元気21」がある場所には「前橋西武」が。そしてアーケードに隣接する「スズラン」があったのだそう。当時、デパートにはエレベーターガールもいたそうです。そして、当時の写真を見ると、この商店街も肩がぶつかるぐらいたくさんの人で賑わっていた様子が伝わってきます。

ところが時は流れ、今残る百貨店は「スズラン」ただひとつのみ。そのスズランも、近々再開発で移転となるようです。ちなみにこのスズラン百貨店は、百貨店として非常にレアなカタカナ名表記の百貨店です。

前橋に唯一残る百貨店「スズラン」、さすがに今はエレベーターガールはいない

さびれてしまった理由は、やはり自動車社会になりアクセスしづらくなったこと、そして郊外に巨大ショッピングセンターができたことでしょうか。群馬といえば自動車の保有率や登録台数が全国トップクラスですからそれもうなずけます。そもそもこの地域では鉄道を使うという文化があまりなく、東京・大阪などの鉄道文化系大都市にくらべると駅前のにぎわいが全くありません。旅行や出張でこの地に来ると、県庁所在地にもかかわらず前橋駅前になにもないことに驚く人が多いほどですから。

また、群馬特有の問題として気候の厳しさもあるかと思います。ご存じの通り前橋を中心とする北関東エリアは日本有数の暑さで知られています。また冬も上越方面から吹き抜けてきた「空っ風」という冷たい風が猛烈に吹き荒れ、のんびり歩いて買い物する気になれないのも仕方ないところでしょう。大型ショッピングモールなら夏も涼しく、冬も快適ですからね。

そんなわけですっかり寂れてしまった中央通り商店街ですが、名誉のために付け加えておくと、平日にはひとけがまばらでも、土日祝にはもう少し人出があります。そして最近では中心街を活性化しようと、色々な活動やイベントなども行われている様子で、街中にアートが展示されていたり、空いた店舗をなんとか利用したりという活動が見受けられます。そのおかげか、今までにないオシャレで新しいタイプの飲食店などもちらほら目に入るので、一時期よりは少し盛り返しているようにも感じられます。(→弁天通商店街編に続きます

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