しぶとく生き残る庶民派アーケード
清水銀座商店街から清水駅前銀座商店街へとやってきました。久しぶりに訪れ、いつのまにか静岡市になってしまっていたことに驚いた清水市ですが、清水駅前銀座商店街は10年前とくらべてそれほど寂れてはいませんでした。というか、記憶が確かであるなら、2013年に訪れたときの清水駅前銀座商店街はもう少し暗い雰囲気だったような気がするのですが、今の方が少し明るいような気がします。もちろん閉店してシャッターが閉まった店もありますが、まだまだしぶとく残って頑張っている店が多いような印象を受けます。
清水銀座商店街のところでも書きましたが、清水の中心市街地には二つの商店街があります。ひとつは旧東海道の宿場跡から発展した「清水銀座商店街」。そしてJR清水駅前から続く全蓋式のアーケードが「清水駅前銀座商店街」。この二つは名前がよく似ているため混同されがちですが(※また、正式には清水銀座と駅前銀座の中間あたりを「中央銀座商店街」と呼ぶそうですが、ここでは省略。中央銀座の方すみません!)、元々栄えていたのは清水銀座商店街あたりで、それが戦後の闇市あたりから駅前銀座あたりに店が並びはじめ、1967年(昭和42年)にアーケードができ、その後高度経済成長期あたりから駅前銀座の方に次第に賑わいが移っていったというわけです。ちなみに駅は最初は「江尻駅」という名前で、今よりも約300m南にあったそうです。ちょうど清水駅前銀座商店街の今とは反対側の入口あたり(※中央銀座あたり)にあったわけですね。
「清水銀座商店街」は呉服屋やお茶屋など、格式が高い老舗を中心とした歴史の商店街でしたが、こちらの「清水駅前銀座商店街」はより生活に密着した庶民的な店が集っています。戦後のマーケットから発展したからでしょうか。久しぶりに訪れてまず一番驚いたのが、大衆演劇の劇場ができていたことです。日本各地のレトロな町に点在する大衆演劇の劇場ですが、閉館というニュースは聞いたことがあっても、新規オープンなんて聞いた覚えがありません(私が知らないだけかもしれませんが)。かなりレアな存在であることは確かです。
残念だったのがかつては商店街の中に三つもあったおもちゃ屋さんが残り一軒になっていたこと。この規模の商店街に三軒ものおもちゃ屋さんが営業していたこと事態奇跡みたいなものでしたが、やはり時代には勝てなかったようです。ちにみに静岡県は知る人ぞ知る精密模型玩具の聖地としても知られていて、江戸時代に徳川家康が天下平定してから暇になってしまった武器職人に玩具を作らせたのが起源だと言われています。その流れで清水にもおもちゃ屋が多かったのでしょうか?
散策の途中、レトロな老舗喫茶店ボンヌールさんでひと休みすることに。お決まりの食品サンプルに店内はもちろんタイムスリップしたかのような昭和レトロの雰囲気で、ちゃんと昭和の歌謡曲が流れていました。創業は1973年(昭和48年)とのことなので、清水駅前銀座商店街にいちばん御客が訪れていたころでしょう(※資料によると清水駅前銀座商店街の通行客ピークは1975年)。そのころは駅前に丸井があり、商店街の隣接地にも西友があり、商店街も人であふれるほど賑わっていたそうです。きっとこの老舗喫茶店でデートをした若者カップルも、たくさんいたことでしょうね。