アニメの力で商店街再興なるか?
沼津は縁がありよく訪れてしまう町です。伊豆で仕事があったときなど、帰りに立ち寄るせいもあるかもしれません。最初に沼津を訪れたのは1995年ごろで、当時は駅前に西武百貨店もあり、仲見世商店街なども人が多くてそれなりに賑わっていました。しかしその後訪れる度に人影が減っていき、2013年には西武百貨店も撤退。その直後の2014年にこちらの仲見世商店街を訪れた記録が残っているのですが、その頃がいちばん寂しかったように思います。
昔の写真を見ていて驚いたのですが、2014年に撮った写真ではアーケードのテーマカラーが緑色で、ゲートや屋根枠なども緑色に塗られていたのですが、2023年の写真ではいつの間にか茶色になっています。あとで聞いたところによると2016年ごろに塗り替えられたとのこと。また2023年ごろまでは、仲見世商店街の沼津駅側ゲートの両側にも車道に沿って片側式アーケードが続いていたのですが(「駅前名店街」という名前だったらしい)、2024年に撤去されてしまいました。
ちなみにこちらの沼津仲見世商店街ができたのは戦後の闇市のころで、その後1961年に初期のアーケードができ、現在かかっているアーケードは1985年ごろに付け替えられた二代目アーケードとなります。アーケードの屋根が自動開閉式なのが自慢だそうですが、私もあの屋根が開いているところを見たことがありません。実際のところは特別なイベントのときぐらいしか開いていないそうです。
かつてはケンタッキーがあったり、ドラッグストアチェーン店などもあった沼津仲見世商店街ですが、そのような大手はすっかり撤退し、現在残っているのはほぼ個人店のみといった状況ですが、そんな寂しい流れに少し希望を与えてくれたのがアニメ「ラブライブ!サンシャイン」です。このアニメでは沼津が舞台になっただけでなく、仲見世商店街までも登場しているそうで(私は「ラブライブ!サンシャイン」を見ていないので詳しいことは語れないのですが)、ファン(「ライバー」というらしいです)の聖地めぐりのスポットとしてこの沼津仲見世商店街も脚光を浴びているといいます。「これに乗っからない手はない!」と、沼津の町では行政も民間でもそれはもうあちこちでアニメとタイアップしたキャラクターを見ることができます。そしてこの沼津仲見世商店街でも「ここまでやっちゃうの!」と驚くぐらいさまざまな仕掛けが見られるのです。
ただ、「ラブライブ!サンシャイン」が県内の観光需要という点では貢献度が高かったとは思いますが、沼津仲見世商店街の各店舗の売上を増やすほどの効果があったのか?いつまでその効果が続くのか?という点では疑問や不安を感じなくもありませんが、少なくとも寂れていた商店街に新しい風を吹き込み、停滞していた空気を変えたことは確かでしょう。何もしなければ商店街全体がもっと寂れていたのかもしれないわけです。
ところで、沼津仲見世商店街はこのまま「ラブライブ!サンシャイン」推しで行くのかと思いきや、驚きのニュースが届きました。なんと、2024年春に仲見世商店街の中心にキン肉マンミュージアムがオープンしたのです。場所は閉館してから10年以上もそのままだったパチンコ店の跡地です。入口にも近い、まさに一等地とも言える場所です。
なぜキン肉マンが沼津に?と不思議でしたが、「キン肉マン」の「夢の超人タッグ編」の舞台が富士山麓にあったことにちなみ、沼津市こそがあのイメージにピッタリだ!と有志がオファーしたことから実現したとのこと。当時使われた生原稿をはじめ、等身大フィギュアと写真が撮れたりグッズ販売などもあるようで、なかなか気合いが入っていることがうかがえます。ただ、私もキン肉マンについてはそれほど詳しくないので、このミュージアムがどの程度すごいのかよくわかりませんが、「ラブライブ!サンシャイン」だけでなくキン肉マンにも来てもらうことで沼津の町の活気が少しでも復活するのならぜひ頑張って欲しいと思っています。寂れてしまった商店街の再活性化については、現状では王道の方策というものが存在しません。色々な町が独自のスタイルで試行錯誤していけば何かが見えてくるのではないでしょうか。