映画館の栄華も今は昔
中央通りの東側、中央通りと平行するように伸びているのがアーケード付きのオリオン通り商店街です。この通りに足を踏み入れて絶句しました。本当に誰も歩いていないのです。中央通りも弁天通も、人通りが少ないとはいえ歩いている人はいるにはいました。しかし、こちらは本当に誰も歩いていない。昼間なのに薄暗く、そもそも開いている店というものがほとんどありません。開いているのはほんの数件。なのに、アーケードのデザインや設備、道の装飾などはオリオン通りの方がゴージャスな雰囲気なんです。
こんなオリオン通りもちょっと前までは若者であふれていたのだとか。それは、この名前の由来となるオリオン座という映画館があったから。オリオン座で映画を楽しむ人や、周囲で食事や買い物を楽しむ人の楽しそうな笑顔でこの通りも賑やかだったといいます。ところがオリオン座がつぶれると、客足が減り、客が減ったから店も減り、なまじ若者向けだった通りだけに一気に衰退。今やこんな姿に、、、という次第。
さて、そんなオリオン通りを歩いていると気になる看板が目に入りました。そこには「オリオン通り(ブラビ通り)」と書かれているのです。それも1カ所だけでなく、あちこちにその看板が。しばらく考えてピンときました。「あ~、きっと映画館があったから、俳優のブラッドピットにあやかって名前をつけたのね!」と。
ところが帰ってから真相を探るべく検索して驚きました。なんと「ブラピ通り」ではなく「ブラビ通り」だったのです。それはかつてテレビ番組で人気者だった「ブラックビスケッツ」のこと。ウッチャンナンチャンのウリナリという番組の企画で木彫りの人形を売れという使命を受けたブラビが、なかなか人形が売れずに困っていたのだそう。そこで買いたい人を番組で募集したところ、商店街を盛り上げようと画策したオリオン通り商店街スタッフが「ならばうちが買いましょう!」と名乗りを上げたというわけ。さらにロケで訪れたブラビメンバーを前に気を良くした商店街スタッフは「なら商店街の名前もブラビ通りにしちゃいます!」と、調子ぶっこいて改名しちゃったわけです。
ちなみにそのとき購入した木彫り人形は、しばらくオリオン座の前に飾られていたそうですが、その後は取り外して商店街のどこかに保存されているとか。また、番組でオリオン通りを「改名する!」と言ったものの、実際に改名するのは容易ではなかったらしく、「オリオン通り(ブラビ通り)」の看板となって後世に残ってしまったわけですね。そんなこともう四半世紀前のことですから、知らない若者にとってはなんのこっちゃです。ちなみに、そのテレビ番組の様子はなんとYoutubeにも残っていて(興味がある方はこちらをご覧ください)、見てさらにびっくり。そのころ(1997年頃?)のオリオン通りの賑やかで店もたくさんある様子がバッチリ映っていて、あらためて今とのギャップに涙してしまいました。
そんないわく付きのオリオン通りアーケード商店街ですが、数少ない営業している店のひとつに、若者に絶大な人気を誇る「ラーメン二郎」があります。こちらも人気店とはいうものの、やはり寂れた商店街にあるというハンデから、「もっともすぐ入れる二郎」なのだとか。もちろん休日や昼等は行列必至ですけどね。
ピンバック: 前橋中心街アーケード商店街その2「弁天通商店街・呑龍飲食店街」(群馬県前橋市) – ぶらぶら商店街ときどき百貨店