一番街・若草通・文化ストリート商店街(宮崎県宮崎市)

活気の戻ったアーケードとレトロな裏路地探検

中心部のメインストリート国道220号橘通りには片側アーケードもかかっている

宮崎出張のついでに市内のアーケードを探訪してきました。近年の宮崎はIT企業が移転してきたり、中心市街地の新規開発が盛んになったり、移住者も増えるなど、いまや九州でもいちばん「熱い」街だそうです。地方都市というと郊外が開発されるばかりで、昔からある中心市街地に活気が戻っているのは全国的にも珍しい存在です。古くからあるアーケード街も、訪れる前は寂れた雰囲気を想像していたのですが、実際に訪れてみると思ったより人が多くて驚いたほどです。【2021年10月訪問】

かつてはファッションストリートだった若草通商店街
若草通商店街
若草通商店街でいちばんの人気店・蜂楽饅頭さんは熊本発祥

宮崎の街は他県の県庁所在地とくらべると歴史が浅く、栄えてきたのは戦後だそうです。元々城下町だったわけはなく、明治時代ごろまではただののどかな田舎町だったといいます。それが1959年に読売ジャイアンツが冬季キャンプを宮崎で行うようになり、さらに時を同じくして皇室の新婚旅行が続いたため宮崎への新婚旅行が全国ブームになりました。そこからはじめて宮崎という街が脚光を浴びて本格的に発展したといっても過言ではありません。

一番街商店街は夜の街

現在残っているアーケード商店街は、一番街商店街が1969(昭和44)年、若草通商店街が1977(昭和52)年に全蓋式アーケードになったといいます。また橘通り(国道220号)には片側アーケードもかかっています。じつはこれ以外にも、1954(昭和29年)にアーケード化された「大成銀天街」(青空ショッピングセンターの南側にあった)や、1979(昭和54)年にアーケード化された駅前商店街(宮崎駅から若草通へと続く道。現在「あみーろーど」という名称で呼ばれる)があったのですが、いずれも撤去(大成銀天街が2009年ごろ、駅前商店街が2006年に)されています。(※大成銀天街の写真はこちら「宮崎市フォトアーカイブ」でご覧になれます)

一番街商店街は夜の街らしくアーケードもきらびやか。屋根はポリカーボネイト素材

一番街商店街の周辺が通称「ニシタチ」と呼ばれる有名な歓楽街・飲み屋街エリア。飲食店が集結し、かつてはこのあたりが街の中心として栄えていましたた。またスナックが多いことから「日本一のスナック街」としても有名なのをご存じの方も多いことでしょう。一番街商店街もかつてはアーケードのない普通の商店街で、一般的な店(生活雑貨や書店・電気店など)が多かったようですが、バブル後の衰退期を経て現在ではほぼ飲食街として生まれ変わっています。す。(※アーケードになる前の写真がこちら「宮崎フォトアーカイブ」でご覧になれます)

現在の一番街商店街で目立つのはこういう看板ですね

若草通商店街の方は、かつては若者向けファッションストリートの雰囲気があったそうですが、現在ではやはり飲食店が増えていて昔の面影は少なくなっているようです。しかし、一番街・若草通どちらのアーケードもメンテナンスやリノベーションなどがしっかりされている様子でそれほどレトロな雰囲気はありません。ところが若草通を歩いていると、店と店の間のわずかなすき間に、「文化ストリート」というなんとも不思議な看板と空間があるのが目に入りました。奥まで続く細い路地の先には何店舗か営業しているように見えます。

若草通商店街の途中でぽっかりと出現する異空間への入口
文化ストリート入口は一カ所ではなく、何カ所かありました
文化ストリート入口の上にあるレトロ感満点の看板

薄暗い路地を入っていくと、人家の間を通り抜けるような細い道になり、一部には倒壊しそうな建物も存在しています。しかしところどころでは営業しているらしい店もちらほら。じつはここも﨑にご紹介した青空ショッピングセンターと同じように、戦後の闇市から始まるマーケット(市場)地帯で、一時は40軒ぐらいの店が営業されていたことが残された看板からも確認できます。市場らしく鮮魚店や食材店が多かったのも市場ならではでしょうか。他の方のブログなどを拝見すると、10年ほど前までは市場を思わせるような店の残骸も残っていたようですが、現在では残念ながら市場らしい雰囲気はほとんど残っていません。その代わり若いオーナーが始めたおしゃれなカフェバーのような店が増えつつあるようです。

文化ストリートを入ると建物のすき間を縫うように細い路地が続く
文化ストリートには営業している店も何店舗かある様子
文化ストリート沿いの建物は老朽化が目立つ
ここも文化ストリート入口のひとつ

というわけで活気を取り戻した商店街と、まだ残るレトロ路地の対比が面白かった宮崎の街。しかし文化ストリートや前回紹介した青空ショッピングセンターなどはそう遠くないうちに昔の雰囲気が消えるのは確実です。できればこの雰囲気が消える前にまた訪れたいなと思いつつ、文化ストリート近くにある宮崎名物「おぐら」のチキン南蛮を食べて帰ったのでした。【2021年10月訪問】

若草通の近くには宮崎県民で知らない人はいないレストラン「おぐら」もある
オマケでニシタチにある人情横丁。「スナックおんぼろ」気になりますよね
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